品質工学会 日本規格協会理事長賞

第2回 品質工学会 日本規格協会理事長賞(2017年)

2017年5月11日
品質工学会 審査部会

授賞の背景

 品質工学会日本規格協会理事長賞は,一般財団法人日本規格協会より贈呈される賞である。その趣旨は,品質工学に関連して広く日本の標準化に貢献すると思われる成果に対して与えるもので,品質工学の実践と普及を通じて,個別企業や研究組織などの組織体や社会へ継続して貢献した個人あるいは組織体に授与する。
 第2回品質工学会日本規格協会理事長賞を,昨年9月末から1月10日にかけて募集した。複数の応募に対して審査部会で予備審査を行い,2月25日開催の品質工学日本規格協会理事長賞審査委員会の審議を経て,3月22日に開催された品質工学理事会で下記の団体に第2回品質工学会日本規格協会理事長賞を授与することが決定された。

受賞組織・団体

受賞組織・団体 株式会社IHI 航空・宇宙・防衛事業領域(代表:識名朝春)
推薦者 小木曽元一(株式会社IHI 航空・宇宙・防衛事業領域)

授賞理由

 株式会社IHI 航空宇宙事業本部(現 株式会社IHI 航空・宇宙・防衛事業領域)は,1994年より品質工学に取り組んでいる企業である。品質工学会の前身である品質工学フォーラムが1993年に設立されて間もないころから品質工学の取り組みを開始し,今日まで継続して品質工学を実践している。
 その実践の成果の一部は,品質工学誌へ投稿され,研究発表大会で発表されており,品質工学の研究の発展に寄与している点が評価される。具体的には,これまでに品質工学誌に15件,品質工学研究発表大会での発表29件を継続して発表している。このことから社内の普及が進み,実践が恒常化しつつある点が評価できる。
 実践活動の継続を通して,品質工学を,品質にコミットした科学的品質管理活動の一環として組織的に位置づけてきている。品質工学導入初期は社内の有志が実践するレベルであったが,少しずつ組織的展開を目指し,一定の期間毎に活動をレビューし,そのレビューをもとに品質工学が技術開発の考えを変革する手法と理解し,実践の量と質の拡大を確実に進めている。特に2000年代に入ってからは,事業を基本から支える人材確保手段のひとつとして品質工学教育を徹底し,組織課題を解決する基礎作りをしている。当事業部が提示した線的活動から面的活動への展開を確実に行っている点が評価できる。その結果として,人材が育成され,品質システム部を中心に優れた人材を登用した推進組織を作り,スタッフとラインが一体となった推進活動をしている。
 現在,導入以来の活動成果をもとに,事業レベルでの戦略課題として制定された品質革新活動「品質工学を中心としたものづくり品質革新プロジェクト」を発足させ,活動を開始している。品質工学を事業戦略達成の中心的手段と捉え,一段階高い活動に挑戦している点でも評価できる。今後の組織的活動の成果が注目される。

お問合せ

品質工学会日本規格協会理事長賞に関するお問い合わせは,品質工学会事務局までお願いします
  品質工学会事務局 中山,金野(こんの) 

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