第27回品質工学研究発表大会(RQES2019S)へのお誘い

大会実行委員長 浜田和孝
 

 今年の品質工学研究発表大会は,品質工学会が一般社団法人となって3回目の大会となります。一昨年の25周年を契機に30周年に向けて新しい学会の活動規範を『Vision30』として定め,活動を進めています。これは常にマクロ視点からの全体最適を考え,顧客中心の評価技術を継続的に提供していくという活動規範です。今回の大会メインテーマも第25回大会から引き続いて「あらゆる分野に評価でイノベーションを」としており,品質工学によってモノやサービスのあらゆる分野で評価の方法を見直し,合理的,効率的な評価を確立することで,効率的な技術開発や品質の確保さらには新しい価値の創造に貢献していくことを日指しています。
 そのメインテーマのもと,サブテーマを「ITとの結合で進化する品質工学」としました。今日,情報技術の急速な進展により,社会の大変革を迎えようとしています。ここで “IT” という言葉は,ICT,DE,CAE,MBD,IoT,AIなどデジ夕ル技術関連の領域を広義にとらえています。モノやサービスすべてにITが密接に関係してきており,デジ夕ル技術を活用したモノやサービスの開発や運用の革新が求められています。その中で,品質工学がどこにどのように貢献できるのかを念頭におき,特別講演や発表のプログラムを構成しました。
 1日目午後の特別講演では,サワダ技研(株)の沢田龍作氏(元トヨタ自動車)から 「品質工学とMBDの融合による複雑系のロバスト最適化」という題目で講演していただきます。MBD (Model Based Development) は自動車に限らず複写機,光学系,音響機器など多くのモノづくりにおいて活用の取り組みがなされています。品質工学との融合は効率的開発に大いに貢献するものと期待されています。
 今年の発表件数は68件と昨年よりも17件少ない発表になりますが,これまでと同様に大・小ホールと展示ホールで発表と討論を行います。スーパーコンピュータを使用した大規模解析による木造建築の耐震性のロバスト設計,独自開発した性能計算ツールによるジェットエンジンのロバスト設計,MTシステムを用いた巨大地震の予測など,大会のサブテーマに合致する発表をはじめとして多くの興味深い発表が行われます。
 また,1日目午前には,大会実行委員OB/OG会が企画した品質工学初学者向けのセッション「初学者必見!なるほど基本機能」を行います。過去の大会発表や論文を基に基本機能を体系化した内容について解説します。また,過去の論文から基本機能が理解しやすいものを選んで発表を行います。品質工学をこれから学ぼうとする人ばかりでなく,基本機能をより深く理解したい人も是非ご参加ください。
 今大会に参加の皆様が積極的に議論に参加され,より多くの知見や気づきを得ていただけることを期待しています。

研究発表・討論の進め方

 今大会は68件のテーマが集まりました。発表申込をもとに,日程,会場およびこれまでの経験を考慮し,参加される皆様にご満足いただける大会となるよう検討した結果,実行委員会では次のような形を考えました。
 発表の形式は,今大会も,壇上発表とポスタ一発表となります。大ホールでは「機能性評価」「MTシステム応用1」「パラメ一夕設計応用」「技法開発」の4つのセッションに分け,品質工学の中心的な各手法とそれらを応用した事例を集めました。
 ポスタ一発表は,展示ホールを使い,3会場で行います。例年と同じく,議論のポイントを提示するための発表10分 + 質疑応答5分のオーガナイズドセッション(OS)の後に,発表者と参加者が自由に討論する自由討論時間を設けました。前回に引き続き,大会実行委員0B会特別企画として,6月27日 (木) の午前に基本機能にフォーカスして過去の好事例を集めたセッション「初学者必見! なるほど基本機能」を行います。品質工学をこれから学ぶ初学者の方に難解といわれる基本機能についての理解を促すような企画となっています。
 発表会場は1日目,2日目ともに5会場となりますが,壇上,ポスターいずれの形式においても活発な討論が行えることを第一に考えました。参加者の皆様のご協力で活気あふれる大会になることを実行委員会では期待しております。

表彰式ならびに受賞記念講演

 大会2日目に,品質工学会日本規格協会理事長賞,品質工学会貢献賞,品質工学会ASI賞,精密測定技術振興財団品質工学賞論文賞,品質工学研究発表大会実行委員長賞,品質工学研究発表大会品質工学会会長賞および精密測定技術振興財団品質工学賞発表賞の表彰式を行います。また,精密測定技術振興財団品質工学賞論文賞および品質工学会ASI賞の受賞記念講演を行います。

招待講演

 大会1日目の午後に,今大会のサブテーマに関連して,サワダ技研(株)の沢田龍作氏 (元トヨタ自動車) から「品質工学とMBDの融合による複雑系のロバスト最適化」 と題して講演していただきます。皆様のご参加と活発な議論を期待しております。