品質工学会 各種規定

【暫定】論文の書き方

 増刊号 *で論文リスト作成を行ったが,その中で気付いたことがある。品質工学の論文は,その分野の専門外の人でも読むことが多い。ところが,専門外の人が分かるように,製品の種類,活用分野という部分を書いていない論文が多い。いわゆる秘密に属するからということではない。当人は分かっているからということで済ませているのであって,他の人に分からせるという努力が不足している。

 
 さらに,論文のまとめが単なる検討とか考察で終わっていて,通常の学術論文でみられるように,最初の目的と最後の結論をまとめて書かれていない論文が多い。読めば分かるという立場なのかもしれないが, 学術論文としての体裁としては不十分である。これは学術論文が客観的な正確性を要求するからである。具体的な論述のあとで,改めて論述の過程を振り返ることに意味がある。
 
 また、これは日本規格協会で品質工学活用の成果を単行本化したものと比較すれば分かるが,図表の説明が極めて不完全なままで投稿されるものが多い。さらに,グラフの横軸,縦軸の説明がなかったり,単位が表示されていなかったりする。図表が何を示しているかは,品質工学を分かっていれば判断できると考えているのかもしれないが,よく読まないと分からないのでは,論文としては不親切で不完全である。
 
 論文はあくまで著者責任である。したがって,編集委員会では文体などの修正は極力しない方がよいのだが,かなり不完全な場合には修正をせざるを得ない。通常,学会の査読では意見は言っても論文の修正は行わない。しかし,品質工学は草の根的な活動を必要とするため,やむなく踏み込まざるを得ない場合もある。
 
 なお,章と節の立て方を細かくしすぎるのは,学会誌の論文としては格好がよいとはいえない。さらに,改行を頻繁にするのもみっともない。論文はいわゆる解説文ではないので,まとまった文章で構成するのがよい。内容さえよければ体裁は構わないと考えるのは良くない。論文というのが多くの人に読んでもらう以上,最低限の配慮は必要である。論文の書き方が分からないという人は,よく書けていると思う論文の構成を参考にするとよい。
 論文の書き方は各自それぞれ工夫すべきもので,あまり形式化すべきではないというのが編集委員会の考え方である。しかし,初歩的な問題は確認しておいた方がよい。ここでは,JIS Z 8301「規格票の様式」の内容の一部を紹介する。これはJIS の作り方の規格であるが,いわゆる文章の作り方の形式が示されていて参考になる。
 
1) 章,節,項の番号の振り方は,1.(章), 1.1(節), 1.1.1(項)とする。その後は,(1) (2) ・・・,① ② ・・・ となる。
2) 研究論文では,章,節を短すぎる文章で区切るのは形が悪い。ある程度まとまった内容にするようにしたい。
3) 文章の構成として,たとえば第2 章と書いて,その後に何か文章を書いてから,改めて2.1 節とするのはおかしい。
4) 特に研究論文の中では,過度な敬語を使わないようにする。また,謝辞を書くときに「ですます」調にする必要はない。本文と同じ「である」調でよい。
5) 参考文献は自分の論文に関係した部分で,きちんと引用することが必要である。基本的には原著論文を引用すべきである。硬い言い方をすると,大会発表は引用文献としては認められない。大会発表を論文化しておくことの重要性がここにもある。品質工学誌ではやむを得ず大会論文を引用しなければならない場合があるのはご存知の通りである。
 
*品質工学会10周年記念臨時増刊号(2002年)